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GW特別編(続6)~収穫の時は来た!~前期バロックは宝の山だ!!-そろそろまとめ [純正ミーントーン(ノーマル中全音律)]

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(続き)
 瞑想はいかがでしたでしょうか(小生、今日は午前中から何か今までになく深淵な脳波が出ているように感じます)。

 さて、昨日は家族で井の頭公園に行ってきまして、そうこうしている内にあっという間にGWも最終日となってしまいました。今回の一連の記事は「GW特別」企画のため、そろそろ収束させなければならないわけですが、とても纏まりきれそうにありません(泣)。 正直、「ホ短調」の鍵盤楽器曲の音律論だけで本が数冊書けるんじゃないですかね。とても社会人アマチュア愛好家が扱い切れるテーマじゃないですね(汗)。
 ・・などとウダウダ愚痴書いている暇があったらサッサと纏めてよ、という読者の声が聞こえそうな気もするので、おおざっぱに纏めてみます。 まぁ、纏めというより、「ざっと調べてみたらこんな感じでした」レポってところですかね。

----本題開始---------

 今まで書いてきたように、ホ短調の鍵盤楽器曲の楽譜について、まずはフレスコバルディから調べてみまして、結果は既に述べた通りです。すなわち、フレスコバルディは、ホ短調曲を作曲した。但し、D♯音の使用やV(B)の和音の使用は、
①オルガンで弾かれることを想定している曲については否定的であり(例:トッカータ集第1巻の2つのホ短調曲)、一方で、
②チェンバロ等(減衰音、調律替え可能楽器)で弾かれる舞曲でしかも速い曲については肯定的である。但し、無条件肯定ではなく、配置などに工夫や配慮が感じられる。
 と考えられます。
 なお、今回「しかも速い曲」の条件を新たに追記したのは、遅い曲についてはホ短調の選択を避けている印象があること(例えば有名な「フレスコバルダによるアリア」はゆっくりだがニ短調曲)、および、後述するフローベルガーと対比するためです。
(※フレスコバルディや当時の人が調律替えを行って弾いていたかどうか?は、とりあえず保留。 もし歴史的真実が「YES」ならば、「じゃあ某社のあの新製品って一体何なの?」、「欠※商品じゃないの?」、「いやいや実は闇の勢力に圧力を掛けられているんでしょ?」論wにつながる。なお、前に書いたアレッサンドリーの演奏CDの日本語解説書では、チェンバロの演奏調律に関し「調律はミーントーンにより、必要に応じてesをdisに調律しなおした。」と記載されております(16頁)。)

 で、フレスコバルディがこのようにホ短調曲を作っていることを確認し、次に興味が湧いたのは、「では、それよりも昔はどうだったのだろう?」ということでした。で、最初にスウェーリンクの鍵盤曲の楽譜(下記ドーバー版)を調べてみたところ、
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このように最初の方は全くホ短調がなくて、「これは全く作ってないのか?」と思ったのですが、005.JPG
付録を入れて73曲中、どうにか1曲だけ見つけました。これです。
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この黄色で塗った41番目の曲は、オルガン用(ペダルパートあり)の変奏曲でして、
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こんな感じで始まります。ただ、やはりD♯の使用は避けられています。また、曲の最後は、フレスコバルディのトッカータと同様に、(Ⅴ-Ⅰではなく)以下のようにⅣ-Ⅰ(A-E)の終始法を使用しています。
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次に、「それでは電話帳wならどうだ?」ということで、若い人にはわからないであろうw、昔の電話帳のようにブ厚い、エリザベス朝時代の数々の鍵盤楽器作品が収められたフィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック(ドーバー版、全2冊)をざっと調べてみたのですが、ホ短調曲がどうにも発見できません(汗)。(ただこの曲集は全部で数百曲あるので、見過ごしの可能性あり。ご存じの方、情報ください。)

で、鍵盤楽器のホ短調曲を最初に書いたのはスウェーリンクなのか? という疑問が生じたため、念のため、ウィリアム・バードの下記「マイ・レディ・ネビルス・ブック」(これもドーバー版)も調べてみたところ、下記41曲中、
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短調か長調かはさておいて、ありましたホ調の曲が、さすがはバード!(感心)
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但し、この曲でもD♯音やV(B)の和音の使用は避けられていて、最後は以下のようにAの和音で終わっています。
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とまあ、こんな感じで、初期の頃のホ短調鍵盤楽器曲の作曲手法がある程度分かったところで、今度はフレスコバルディの弟子たちに興味が移っていくわけです。

まずはフローベルガー。これもやはりドーバー楽譜です。
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 まずはトッカータのホ短調曲を探します。下記黄色で塗ったように、フローベルガーは結構作っていますね。
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最初のホ短調トッカータ(第8番)。3分程度の短い曲ですが、最初から(大胆に?)D♯音を使ってV(B)の和音をならします(鉛筆で丸した部分)。但し、短い音符で経過的に使っている、と評価できるかも。
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 ともあれ、オルガンで演奏される機会が多いトッカータで(師匠のフレスコバルディが避けた)D♯音をこうして使っているのは、何か感慨深いものがあります。何か作曲者フローベルガーが「私はこの音をオルガンで使うことを肯定します」、「私たちの頃はD♯音が普通に使われていたのですよ」と説明しているように感じてしまう私なのでした。

 トッカータ第8番の他の個所です。ここは低音はBですが、和音はD♯(つまり長和音)の使用を避けて短和音(Bm)にしています。
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そしてここ。短い音符で気を使いながらD♯を入れているようにも感じます。

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さらにここ。比較的長いⅤ(B)の和音は、Aの音を加えて属七の和音とし、かつ下のBと上のD♯を1オクターブ離しています。次の小節も下のBと上のD♯を離してますが、オルガンで最後の2分音符のD♯を伸ばしすぎると耳障りかもしれないですね。

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その他、下記のように、このトッカータでは、V(B)の和音を(響きに気を遣いつつも)ふんだんに使っており、特筆すべきは、最後をV(B)-Ⅰ(E)の終始法で終えているところです。
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 ホ短調のトッカータでこの終始法を最初に使ったのがフローベルガーであるのならば、フローベルガーは「大胆な勇者」、「歴史を変えた男」、「ホ短調トッカータの改革者」と言えるのかもしれません。一方で、この頃のオルガンのD♯音が「修正されたD♯音」であったのならば、フローベルガーの書法は「使うべくして使った」、「別に偉くはない」、「当然の結果」etcとなるので、この「鶏(曲)が先か卵(音律)が先か?」問題は、作曲者の名誉等からすると結構重要な問題なのでは、とも思えます。

次はトッカータ11番です。この曲は、8番より規模が大きく(演奏時間5分半程度)、タイで接続された持続音も多いので、よりオルガン演奏を意識した曲と言えそうです。手持ちCDでも8番がチェンバロ、11番がオルガンで弾かれています。

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そのせいなのか、D♯音の使い方が、8番に比べてより慎重になっている印象を受けます。具体的には、長く伸ばすところはこのようにD音(Bm)とし、
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ここもそうですし、
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B7のところはD♯と下のB音が3度になってますが、一応A音で緩和してますし、次もBmですよね。ただ、最後だけは(D♯の音を短くしつつも)V→Ⅰパターンを貫いてますね。

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 (続く)

 

 

 

 

 

 


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コメント 2

REIKO

バードの例は、属和音(V)を避けて曲が書かれてるってことですね・・・珍しいですね。
もっとも、出だしこそホ音が主音っぽいですが、これは単なる導入で、主部はAが主音ってことはないですか?
最後Aの和音だし。(。。)?
この頃はまだ長短調でなく「旋法」なので、難しいですね。

それで別記事コメントでちょっと話が出たヴェックマンですが、ナクソスのこのCD解説で↓↓↓
http://www.hmv.co.jp/product/detail/686411
ヴェックマンがオルガニストをしていた教会のオルガンが、当時「A♭/G#」「D#/E♭」「A#/B♭」の分割鍵盤を持っていた・・・とあるんですよ。
彼のオルガン曲はほとんどこのオルガンで演奏するために書かれたそうです。
──── という例があるので、作曲家の鍵盤環境(笑)によっては、オルガン(想定)曲にD#やA♭が出てくるからといって、ただちに「大胆」とか「Modifyしていたミーントーン(又は不等分律)を使っていた」とは言えないことになるんですよ。
むしろ「1/4コンマミーントーンだった」証拠かもしれないわけで。
(私はヴェックマンの楽譜を全く見たことが無いですが、この分割鍵盤のことから、コメントに「A♭・D#・A#を使ってるってことですか?」と書いたのです・・・推理が当たりましたね)

このナクソス盤は、そのヴェックマンが使ったオルガンで録音されています。
しかしオルガン自体はヴェックマンの死後何度も改変され、戦争で大きなダメージを負った後、現在は往時の状態に復元されているとのことですが、分割鍵盤になっているのかどうかは、解説文からはっきり分かりません。
音律も明記なしです。
例のランペが録音したヴェックマンもCD持ってますが、こちらのオルガンは音律にプレトリウスの記載があります。
でも大変ソフトでロマンティックな響きのオルガンで、とてもそうは聴こえないですが。
「こういう楽器で聴くと、ヴェックマンとレーガーのポリフォニーって似てるっぽいでしょ」なことを、彼はインタビュー解説で言ってますが・・・
そういうもんなの・・・?(* *)
by REIKO (2012-05-06 20:22) 

koten

REIKOさん、コメントありがとうございます。( ^-^)_旦~

>これは単なる導入で、主部はAが主音ってことはないですか?
>この頃はまだ長短調でなく「旋法」なので、難しいですね。
・・そうなんですよね、何か難しいですね。この曲は、Eの和音が4小節ほど続き、次にAm→Bm(第1転回型)→Dm→Am→E→A(2小節)→E(3小節)→EmとE→Amという風に、全体的にはEとAの和音が多いのですが、めまぐるしく変わっていって一向に落ち着かない感があり、正直良く分からんです(汗)。ただ、各変奏の出だしは必ずE和音だし、何か「俺は(当時殆ど誰も作っていない)ホ調で曲を書いてやるぞ!」という意志(ないしチャレンジ精神)が感じられたので、ホ調として評価してみました。

>オルガン(想定)曲にD#やA♭が出てくるからといって、ただちに「大胆」とか「Modifyしていたミーントーン(又は不等分律)を使っていた」とは言えないことになる
・・・これもまた難しい問題ですよね。オルガンは、分割鍵盤の他にも、ストップを使ってE♭をD♯に切り替える機構を備えたものも実際あったようですし。
 なので、今回の記事は、そういうことも踏まえて、可成り最大公約数的な側面から書いたつもりではあったのですが、フローベルガーのオルガン曲に関しては音律面での謎が残ったのは事実ですしね。
 一方で、「自分の作品が他国(つまり別のオルガン)でも弾かれる」ことを考慮していたメジャーな作曲家は、そのような環境を考慮して曲を作るだろうし、フレスコバルディなんかは良い例ではないかと考えられますね。 なので例えば、ペダル音ありの作品よりも、ペダルなしで音域もそんなに使っていないような曲の方が、#音♭音に関しても当時のいわゆる「最大公約数」的な要素を反映している可能性が高いかな、とは思いますね。

>ヴェックマン、分割鍵盤、ランペ、プレトリウスの記載・・とてもそうは聴こえない
 ・・この辺も、何か色々と難しいですよね。分割鍵盤問題はまるで「タブー」であるかのように(笑)全く議論されないし。 表記調律の違和感につき、私も、CDの解説では「ミーントーン」って書いてあるのに、「これは3度の純正度が低いのでは?」、「私より調律下手じゃん!」と思えるようなCDが幾つもありますし、「ヴェルクマイスター」って書いてあっても「狭い5度が全然気にならないんだけど」と感じるものもありますし。
 で、私の場合、やっぱり最後は「陰謀」、「闇の勢力からの圧力」関係を疑っちゃうんですよね(爆)。何か情報の隠蔽具合(笑)とか、(12ET擁護者だった)ヴェルクの余りのもてはやされぶりに対してミーントーンのなおざりぶりとか、明らかに不自然なことが多すぎると感じるもので。

by koten (2012-05-06 22:51) 

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